この恋、賞味期限切れ







「憧子、サンキューな。助かった」

「どういたしまして」



昼休み。

舜ちゃんが教科書を返しに来てくれた。



「落書きとかしてないよね?」

「まっさかー。するわけねぇじゃん」



ははは、と笑われた。


うーん、愛想笑いにも見えるけど……。
落書きしてそうな、してなさそうな。


長年の付き合いだというのに本心が掴めない。



「あ、そうそう、これ」

「え?」



私の疑いの目を見て見ぬふりし、舜ちゃんはあるものを手渡した。



「プレミアムスイーツだ!」



この学校の購買にある、幻のスイーツ。

誰もがうわさを聞いてはよだれを垂らしているとされる、生徒の間では「プレミアムスイーツ」と、そのまんまな名前で呼ばれているひと品。


プレミアムスイーツを手にした人は、非常に少ない。急いで購買に行っても、すでに売り切れているか、その日は販売していないかのどちらかだ。言わずもがな、私も手にしたことがなかった。



そのプレミアムな一品が、今手の中に。



「え、えっ!? どうして舜ちゃんがこれを!?」