この恋、賞味期限切れ




その日の夜は、眠れなかった。


頭の中はパンク寸前だった。

憧子ちゃんと宇月くんのこと。
先生たちの会話も。

不安要素が多すぎて、手にあまる。寝たくても、寝つけない。



あたしはどうしたらいい?

どうすることが“正しい答え”なの?



目を閉じても、瞼の裏にみんなの顔が浮かび上がる。

睡魔を押しのけた意識の道中、ぐるぐる、ぐるぐる、解決しなければいけない問題がめぐっていく。


考えても、考えても。

考える分だけ、どうすればいいのかわからなくなって。

頭が痛くなった。



……わかっていたのに。


宇月くんが憧子ちゃんに想いを寄せていることは、わかっていた。

ひりひりと胸をしびらすほどに。


ずっと、思っていたんだ。

こうなる日が……傷つくときが、いつか、来るかもしれないって。


大丈夫だと、思っていた。
そのつもりで生きてきた。


憧子ちゃんが宇月くんの彼女になって。

本当の意味で失恋したとして。

それでも誇らしげに笑って、祝福できると信じていた。


脳内シミュレーションだってした。夢にも出てきたし、夢の中のあたしはたしかに笑っていた。



だけど……。



「……むりだよ……っ」



真夜中二時を過ぎた。

ベットにもぐりこみ、布団の中でぽつりと嘆く。



たとえ相手が親友でも、喜べないよ……。

こんな最低な人間だったっけ、あたしって。


宇月くんの隣はあたしがいい、なんて。


いつから欲張りになっちゃったんだろう。こんなつもりじゃなかった。本当なのに。


どうして宇月くんじゃなきゃだめなんだろう。



憧子ちゃんは南くんにフラれて、宇月くんの彼女になった。

もしも、それが、現実だったなら。


あたしは……。

憧子ちゃんにどんな顔をして会えばいいの……?