こんな自分、嫌いだ。




――ドンッ!



「きゃっ!?」

「わ、悪い!」



廊下の突き当たり。

誰かに体当たりしてしまった。


おぼつかない足取りで走っていても、衝突事故は避けられない。想像以上の威力と痛みを連れて、巻き起こる。


あたしは尻もちをついた。

ぶつかった相手のカバンのチャックが開いていたのか、カバンが床に落ちた拍子に中身が無残に飛び出た。



「す、すみません! 大丈夫ですか!?」



廊下に散らばった教科書やノート。

あたしが廊下を走ってたせいで……!

あわてて上半身を起こし、散らばった物たちを拾い集めていく。



「こちらこそすみま……って、幸村?」

「え? ……あ、南くん!」



あたしの名前を呼ばれて驚くと、目の前に南くんがいて、また驚いた。

ぶつかった相手、南くんだったんだ……!



「ぶ、ぶつかってごめんね」

「いいよ。俺の不注意もあるし」

「拾うの手伝うよ!」

「もう手伝ってくれてんじゃん。サンキュ」



……あれ?

カバンに一番近いところに落ちている、あれって……薬ケース?



「南くん、どこか体調悪いの?」

「え?」

「だってそれ……」



薬ケースを指差すと、南くんは「ああ……」と乾いた笑顔を作った。