「……っ、南……」
やめて。
お願いだから。
もう。
これ以上、惑わさないで。
「南っ!!」
三回目にしてようやく、南は私の人差し指を離した。
はっとして「悪い、つい……」とバツが悪そうに謝られ、胸がズキリと悲鳴を上げる。
やだ。本当は謝ってほしくない。
私、嬉しかったんだ。
でも、それよりもずっと、苦しかった。
「私に……優しくしないで!」
私のことなんて好きじゃないくせに。
私の告白をふったくせに。
どうして優しくしてくれるの?
どうしてよ。ひどいよ。
ずるいよ。
その優しさを、拒みたくなかったよ。
さっき聞こえた、期待してしまいそうな「二人で」というセリフも。
今の、クラクラしそうなほどの微熱を帯びた優しさも。
全部……期待しただけ、むなしくなる。
「優しく、しないでよ……」
早く、一刻も早く、この恋をあきらめなければいけないのに、それすらもさせてはくれない。
好きでいたいと、望んだのは、私自身。
だけど、まるでおとぎ話に出てくる、林檎に隠された毒のように、「好き」を心の髄まで侵していく。
私をトリコにさせて、縛りつけてしまったら、私の情緒も涙腺も不安定に揺れてしまう。



