この恋、賞味期限切れ



教室に入って、一番に視界に入ったのは南だった。


クラス会以来、南とは会っていない。

あのときより肌が焼け……いや、むしろ白くなった?と疑うくらい、まったく変わっていない。嬉しいような、私のほうが肌が黒くて悲しいような……。


変わり映えない。だけどたしかに1ヶ月ほど空いていて。

垢抜けた大人っぽさをなんとなく感じては、会えた嬉しさを噛み締める。


今日からまた毎日のように南の顔を見れて、声が聞ける。会えるんだ。



「あ、松井! はよ」



私に気づき、南はにっと笑って、犬がしっぽを振るみたいに腕を大きく振った。


席はかなり離れてしまったけれど、フラれた当初よりは格段に心は近づいた。

これも自惚れかな。口元がニヤけそう。



「お、おはよう、南!」

「南くん、おはよ」

「幸村も、はよ」



たった一目会えただけ。
ほんの少し言葉を交わしただけ。

それだけで舞い上がって、浮かれてしまう。


キミの存在自体が、今日を、明日を――“今”を生きる意味になる。


それってきっと……南への気持ちが完全に消せてないからだよね。


嬉しいって感じたらいけないのはわかってる。

早く想いを消さなくちゃいけない。なのにそれができない。



なんて罪な男。

あんなキラキラな笑顔を見たら、また“スキ”って思っちゃうよ。