「んな騒ぐと悪化するぞ」
「だからそうさせるのは誰だと……!」
げほ、と噎せこんだせいで熱で潤んでいた瞳が更に潤む。力もうまく入らずにぐたりとしてしまう。
あぁ、頭ぼーっとする…何も考えたくない。というかこの状況ですらもはやどうでもいい。
「お前が言ったんだろ」
とろとろとぼやける視界で見上げれば少し目を伏せてわたしを見下ろす久我の姿。
いつもこちらを鼻で笑うような餓鬼らしさはなくどちらかというと大人っぽいまなざし。
この体勢のせいもあるのかもしれないけど初めて見せる色のある雰囲気にドキリと心臓が脈打った。
「な、にを……?」
「つーが風邪引いたのが俺のせいって」
ヒヤリ、冷たい手のひらが頬を滑り親指がわたしの唇をなぞる。その手つきがどこか官能的に思えて頭がグラグラした。
「だからもらってやるよ、その風邪」
ピタリ、冷たい指が動きを止めてクイ、と顎が掴まれた。と同時にふわりと唇が塞がれた。


