テーブルに着席すると、すでに注文まで終わらせていたのか
フランス料理のフルコースが順番に運ばれてくる。


そして食事が終わった頃、店内の灯りか静かに落とされて、
キャンドルがテーブルに一つずつ配られる。



静かに運び込まれる蝋燭のささったケーキ。
ケーキには「誕生日おめでとう 美佳」っと記されて……。




静かにテーブルにバースデーケーキを置かれた後、
正面に座っていたはずの憲康の姿が消えた。


途端に懐かしい曲が聞こえてくる。



一番最初に出逢った時に演奏していた「パカニ-ニの第六番」のフレーズを
取り入れながらのオリジナル曲。


そしてその曲は、お誕生日の歌へと繋がっていく。



お店の人や、その場にいた人にも歌って祝福して貰えて、
私は照れくささを感じながら、蝋燭を吹き消した。


拍手で祝福された私。
店内の灯りがついて、そのまま憲康は私のテーブルへと近づいてくる。



「美佳、誕生日おめでとう。

 こうやって来年も、再来年も君の誕生を祝いたいから……。
 一緒になろう」



憲康の手には、指輪の入った赤いケース。
指輪の隣には、誕生日プレゼントと思われるもう一つの箱。



「美佳、君の返事は?」


「……もう、バカ……」




憲康が全然そんな素振り見せないから、
今作ってた曲完成させて、私から告白しようって思ってたのに……。


また先こされちゃったじゃない……。




「美佳、薬指にはめてもいいかな?」



憲康の言葉に、素直に頷いた。










出逢いは憧れでも構わない。



神様がずっと見守ってくれていたのは、
ずっと伝わっていたから。




真っ白なウェディングドレスを着て、
何時か……憲康の為に、あの曲を演奏するの。




私とアイツの思い出を
沢山塗り込めた大切な曲を……。






永遠の誓いと言う名のエッセンスを織り込んで。






END