「いきなり言われて、
 お前が戸惑ってるのも知ってる。

 だから俺は待つよ。

 待つけど……ファイナルで、
 俺はお前の為に作った曲を演奏する。

 だからちゃんと聞け。

 それだけだ」





それだけだって……
偉そうな口調でいいながら、
かなり照れてるのがわかる秋弦の奴。





だけど……秋弦、
私も今は何も言えない。





私は……ファイナルに勝手、
史也くんに告白するって決めてるから。




秋弦の気持ちを知りながらも、
何も行動出来ないまま、
ただ私たちはお互いの練習に没頭した。



12月になって、クリスマスが目前になった頃
ファイナル当日がやってきた。




5人の演奏者が、
それぞれのパフォーマンスをアピールしながら
ステージほ演奏していく。





そのコンクールで
グランプリを納めることが出来た。




念願のグランプリ。



秋弦は、3位入選って言う結果になったけど
それでも……凄い演奏には違いなかった。





グランプリのトロフィーを手にして、
私は楽屋へと戻る。



私の携帯で、
トロフィーと一緒にピースしてる写真と共に
史也くんへと1ヶ月ぶりのメールした。
 
  







ファイナル、グランプリに選ばれました。

史也くんの曲が、
私の背中を押してくれた。


伝えたいことがあるので、
良かったら、今晩、時間を頂けませんか?


太田先生の教室の、近所の公園でいいので
逢えませんか?



奏音









送信。





暫くすると、
史也くんからの着信が入る。






「もしもし」

「奏音、グランプリおめでとう。
 いいよ、俺の方も推薦の枠が手に入ったらからね。
  
 公園に行くよ」





そう言って、史也くんは電話を切った。