そんな理由も忘れていた紅蘭は、妖力の半分だけで、行き帰りをしてきた。

なぜ、力尽きなかったかというと_…



「あーっ‼︎ いた‼︎ お前、今まで何処行ってたんだよッ‼︎ 特訓はどうした‼︎」

「兄さん……」



紅蘭によく似た少年。

彼は紅蘭の兄で、名は紅蓮(ぐれん)。

紅蘭が膨大な妖力を持っていたのは、毎日毎日、紅蓮に厳しい特訓をされてきたからだった。



「あっ! 兄さん、私ね、人間界に行ってきたの‼︎」

「はっ‼︎?」



紅蓮は、持っていた大量の資料をバサッと落とした。

紅蓮が怒っているのに気づかず、紅蘭は自慢話を続けた。



「私、初めて行ったんだけどさぁ〜! 無妖力になんてならなかったんだよ‼︎ あ、それにね、人間界の景色はサイコーで…‼︎ 夕日がすっごく綺麗だったな〜!」



ザア…と、嫌な風が吹く。そして、紅蘭は気づく。



紅蓮の、怒りに__!!!