長い、長い夢を視た。 夢の中で「それ」は懐かしいような、初めてみるような奇妙な感覚に捕らわれ、浮いては沈む泡のように揺らいでいた。 ふと、ひとつの情景が目に入った。 その情景は淡い橙でその橙の中に沢山の人の顔が写った。 (……) 橙の人達は一様に口をパクパクさせ何かを話しているが、何を話しているのか此方にはわからない。 ただ、その橙の人達は皆何かを嘆くように悲しい顔をしていた。 (……何を、話しているんだ……) 彼等の言葉を汲み取ろうと目を凝らすと橙の泡は靄の中に消える。