そのあと僕らは泣き疲れるまで泣いた。

抑えきれない想いは、止まることなく溢れてきて、僕はその想いを表に出さないようにすることで精一杯だった。

泣き疲れて眠る優雨を見ながら、独り言のように僕は呟く。

「僕は何もしてあげれないのに、優雨のそばに居ていいのかな。」

いつも優雨は、僕を支えてくれる。

誰にも言えない想いを聞いてくれる。


...なら僕は?

優雨に何かを返せれたか。

優雨の力にどれだけなれたか。

考えれば考えるほど、僕は何もできていなかった。

「ごめんね、優雨。僕は....」


「バッカじゃないの?」


その突き刺すような声は、まぎれもなく美咲だ。

顔を上げて目を合わせれば、やっぱり美咲は怒っていた。

「バカって...僕はいろいろ考えて....っ」

「そんなことを考えてるから、湊はバカだって言ってるんだよ!
優雨の力になれない?何にも返せれてない?どうせそんなこと考えてるんでしょ?」

「.....!」

言い返す言葉もなく、美咲は僕を見抜いていた。

涙ぐみながら、続ける。

「優雨はそんなこと、これぽっちも思ってないよ!
ただ、湊といれるだけでいいって!一緒に笑えてることが幸せだって、いつも言ってたじゃん!湊は、優雨の言葉を信じてないの?いつも心から笑ってたのに!」

「信じてない...わけじゃないよ...。僕も幸せだって思ってると思う。」

嘘じゃない。これは本心だ。

でも。


「でも、まだ18歳なんだよ?僕らと同じ年なんだよ?なのに...っ何でこんなことになるのっ!?」

僕の大切な人は、みんないなくなってしまう。

家族も。

ただ一緒にいたかっただけなのに。

君も。

ただ、恋をしただけなのに。

「どうして...っ!...お願いだ...僕を置いていかないでくれ...。僕から離れて行かないでくれ...!」

今度はもう、想いや涙を抑えることはできなかった。