ここは、桜刈梅川高等学園。

私は自分の成績でここに受かってしまった。

私は、自立しようと思ってたのに。

腹違いの私を母は嫌いで、昔から邪魔者扱いしてきてた。

だから私も母は嫌い。

唯一の頼りになるのが父と妹。

あんまり父はいい目では見ないけど、優しくしてもらってるし別になんの罪もない。

腹違いって言ったって、私の母親は死んじゃってるんだし、憎みようがないじゃん。

だから、あんまり気にしないようにしてるけれど。

高校生だし、何でもできるようになってきた。

だけど、唯一できないことと言えば…、しゃべること。

苦手とかじゃなくて、もとから。

…母が病につく前、他の病気を持っていたらしいんだ。

だけど、それが私にうつっちゃったみたいで、それっから母はその病気は消えていって。

私に移っちゃったってことになってるけど。

この身を保ててるのは母のおかげであり、父のおかげであるから。

もうなんも言えないけど。

……でも、叶えたい夢が私にはあるんだ。

…それは、歌手になること。

話せないことは知ってる。

もちろん歌ならなおさら歌えない。

だけど、母が歌手で。

いつもその声と、歌詞の内容を聞いてると元気がでてきて、「よし、やるぞ」って思えるようになる。

だから、こんな夢と希望を伝えたいと思って、私はこの叶わないような夢物語を見続けているんだ。

…だけど、一つだけ。

もう一つだけ叶わないような願いがある…。

それは……。


"私の運命を変えてくれた人と生涯を暮らすこと"