「のんちゃーん、石川くんにフラれたとこ悪いんだけど、」
「ああ、喜美ちゃんお帰りー。早かったね? ちなみにフラれてないよ」
「ただいまのんちゃん。呼ばれてるよ」
「え?」
「隣のクラスのヒト」
「え?」
「告白じゃない? 私、教室出ようとしたらつかまっちゃって」
にやりと笑った喜美ちゃんが、くいくいと教室の入り口を指さす。
ちらりと目を向けると、見知らぬ男子が気まずそうにこっちを見ていて、目が合った瞬間に慌てた様子でそらされた。
……告白?
「……告白?」
「さあ? 知らない。私のんちゃん呼んでって言われただけだもーん」
喜美ちゃんに早く行ってあげなよ、と言われて、ああ、と言われるがまま席を立つ。
……告白?
いやまさか。

