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石川くんとあたしの(運命の)出会いは、今をさかのぼることほんの3か月前。高校最後のクラス替えで、新しいクラスの新しい席で隣になったことにある。


それまであたしの興味の対象と言えば、食べること寝ること小動物と戯れること、くらいだったのだけれど、初めて石川くんを見たとき、その全てがどうでもよくなった。


というか、石川くんのことを考えると空腹を感じなくなったし、寝る前も寝てる間も起きた瞬間もあたしの頭の中は石川くんでいっぱいで、ペットのリリー(チワワ、メス)を抱いていても石川くんの抱き心地を想像してしまうし、なんていうかあたしの生活のすべてが石川くんになった。


サラサラな黒髪、きめ細かい肌、切れ長の目、薄い唇、知的なのに妖艶でエロくてクールでなんていうかありがとう石川くん、石川くんのお母様お父様ご先祖様、石川くんに関わってくれたすべての人たち。って思わせられる人。


一目惚れに近かったと思う。


最初に、石川くんがあたしの方を見て、「よろしくね」って言った、「よ」のyの発音を聞いた瞬間に、あこの人好きって思った。


あたしの好みドンピシャど真ん中。


好きな人ができた。