ただしいあなたのころしかた




石川くんに置いて帰られ、恋人一日目として満足のいかない結果で終わってしまった今日、まっすぐ家に帰る気にはなれずに喜美ちゃんにお願いしてファミレスに寄った。


なんか、付き合って最初ってすごい重要なんじゃないだろうか。


分からないけど、二人の温度感とか、最初が基準になるんじゃないか。


今日がこんなに冷えきっていて、これから先、距離を縮められる気がしない。


ていうか付き合う前と何も変わってない。どころか状況は悪化してる気がする。考えすぎ?



「……石川くん、なんであたしと付き合ってくれたんだろ」

「今更? 普通それ、最初に聞いておくことだと思うけどー」

「だって! なんか、衝撃で頭回らなくて!」

「じゃあ今電話して聞いてみようよ」

「今⁉」

「学校でも話せなくて、放課後も別行動なんだから、電話くらいする権利あるでしょ? ……一応仮にも、彼女(?)なんだし」

「彼女かっこはてなって言わないで喜美ちゃん」



ほら早くと急かす喜美ちゃんに言われるまま、思わずスマホを取り出したけど、……いやいやいやいや、電話。できるわけない。今までだって一回もかけたことないし、石川くんが出てくれるわけがない。