そしてちょっと怖い。
いつもみたいな辛口な言葉なんかじゃないのに、どっか棘があって痛い。触れられたくない、いやなことを言われてる。
もしかして、本格的にフラれるのだろうか。
そう思うと変な汗が出てきて、心臓の動きが少し早まる。
「じゃあもし俺が」
「う、ん、」
やっとの思いで相槌を打ったけど、石川くんの顔が見れなくて食べかけのチョコレートケーキの断片をじっと見つめた。
じゃあもし俺が?
「付き合おうって言ったら付き合う?」
「……え?」
「うん」
「……いや、うんじゃなくて。……え? あたしと石川くんが?」
「うん」
「いやうんじゃなくて!」
「うん、付き合う?」
なにこの急展開。
予想の斜め上どころか真反対をいってる。石川くんの言動は謎が多い。で、理解ができない。あたしが悪いのかな?
びっくりするというより戸惑いの方が大きい。なんで急にそんなことを言い始めたのか。
思わず顔を見れば、石川くんは相変わらず能面男なので表情は先ほどと一ミリも変わらない。

