石川くんは今来たらしく、店員さんに案内されるままあたしたちのすぐ隣のテーブルに着いた。
あたしたちが知り合いであることに気を遣った店員さんにテーブルを移動するか聞かれたけど、石川くんが全力で拒否ったので合流はしない。
「大ちゃんも来てたんだ」
「大ちゃん……?」
「あー、なんだよ石川……まさか会うか、普通。タイミング……」
「え、二人、知り合い⁉」
「去年同じクラスだったからねー」
がっくりと肩を落としている飯田くんには悪いけど、石川くんの登場で、あたしのテンションは別方向で急上昇した。
プライベートな石川くん。学校以外で会うのは実は初めてだ。
しかも、なんか飯田くんとすごく親しげ?
去年同じクラスだったかもしれないとは思っていたけど、まさかの大ちゃん呼び……!
あたしのことものんちゃんて呼んだらいいのに……! ちょっと飯田くんに嫉妬した。
「……石川、どこまで聞いてた?」
「なにも」
「その席だと、どれくらい聞こえる?」
「なにも」
おすまし顔の石川くんは、いそいそとリュックからいつもの本を取り出すとお構いなく、と残して読書を始める。
静かな店内なので、声のボリュームが小さい石川くんの声もばっちり聞こえるくらいだ。
あたしたちが普通に会話する声くらい、おそらく隣の席の石川君にはばっちり聞こえてしまうことだろう。
さっきの続き? 話せるわけがない。

