「……のんちゃんて、意外とそういうとこ、シビアだよね」
「えへへ、そうかなー?」
「妙に現実的っていうか」
「うんうん」
「ちょっと尊敬する」
という割に、あまり納得がいっていないような顔の喜美ちゃんに、何か他に言葉をかけるべきかを迷っていると昼休み終了のチャイムが鳴り響く。
ちょっとほっとして、自分の席に戻って行く喜美ちゃんを見送った。
確かにあたしは石川くんが好きだよ。今はね。
誰よりもかっこいいと思っているし、大好きだけど。先のことなんてわからないし。
石川くんを好きな気持ちは決して中途半端なものではないけど、それと同じくなぜかあたしのことを好きになってくれたという飯田くんの気持ちも中途半端なものではないだろうから、無下にはできない。
あと、これを機に石川くんがあたしの大切さにうっかり気付いてくれるのではないか、という期待もなくはない。
失いそうになって初めて気付く、そんな恋だってあるでしょう。