さよならは言わない


「私が手伝うわ」

「お前、課が違うだろう!」

「でも、私なら森田さんの仕事を手伝えるわよ」

「だがな!」

「この際誰でもいい。絵里の代わりは江島、お前に頼んだぞ」

「はい、お任せを。さあさあ森田さん出張の準備できてますか?」


尊に振られた後はすっかり本命の森田さんのご機嫌とりに夢中の江島さんだ。

毎日の様に言い寄られて森田さんは迷惑なようだが、最近はこんな光景を楽しんでいるようにも感じる。

もしかしたら、森田さんは嫌と言いながらも江島さんに興味を抱いたのかも?


「専務と絵里さんお幸せそうね」

「でも、娘を亡くしてかなり辛かったようだぞ」

「来年辺りでしょ? 七回忌だったわよね。あの二人がそんな関係とは知らずに恥ずかしいことしたわ」

「誰にも過ちはあるさ。それを過ちだと認める勇気が大事だけどな」

「私は自分のした愚かさを悔いてる。だから、認めてよ、森田さんが好きだってこと」

「認めるだけならな」

「ありがとう! だから森田さん大好き!」

「おい、こら!離せ!」


どうやら、森田さんと江島さんのこの二人にもそう遠くない日に春がやって来そうだ。