さよならは言わない


私の妊娠が判った時に入籍をし、住まいは尊のマンションを処分し尊の実家へと二人で戻り尊の両親と同居している。

先々のことを考えるとそれが一番いいとなり私もそれで同意した。

ただ、友美が親との同居に難色を示し、私が嫁いびりにあわないかを心配していた。

いびられなくとも環境の違いで私が辛い目にあわないかを気にしてくれていた。

私が未だに心療内科に通うから友美は安心できないでいるのだと思う。


「今日の診察は俺も一緒に行くよ」

「ありがとう。でも、お腹の検診後は心療内科へ行くけど時間大丈夫なの?」

「ああ、未来の社長がお腹にいるんだ。きっと、未来の社長は検診くらいは許してくれるさ」

「そうね」


お腹の子は男の子と判明し尊もご両親も跡継ぎが出来たと更に大喜びだ。

尊は子どもの性別には関係なく我が子の検診は必ず毎回一緒に行ってくれる。


「絵里、出掛けるぞ。ほら、荷物かせよ」


尊は当たり前のように私の荷物を持ってくれる。

そして、私が転ばないように車に乗るまで肩を抱き寄せ支えてくれる。

ちょっとした動作が私は嬉しいし幸せを感じる。

だから、車に乗って尊にもたれ掛かる。


「気分悪いのか?」

「ううん」

「体の具合は大丈夫か? お腹は?」

「ふふっ。幸せすぎて変な気分よ」

「はぁ?」


甘える私に尊は不思議そうな顔をしたけれど、私の手を握りしめると運転席の後ろの仕切りボードを上げた。


「これで暫くは二人っきりだ」


運転手が車を走らせるとしばし二人の甘いキスタイムが始まる。