それからと言うもの、尊との関係は相変わらずギクシャクしたままだが、その分、森田さんが社外へと連れ出して気分転換をしてくれる。
だけど、それは尊の思いやりからの指示で森田さんは専務の指示通りに仕事をしているだけと言う。
どちらにしても私は有難かった。
会社ではかなり非難された待遇を受けているし、マンションへ戻っても美香の件で尊とはまだ完全に心を許し合っていない。
お互いに気遣いはしているけれど、どこか意思の疎通ができていない。
でも、時間が解決してくれるものだと私はそう思っていた。
だから、尊のマンションへ一緒に帰宅するし夕飯は尊の為に手作りしている。
そして、美香の仏壇の前ではお互いにいい関係が保てていると思う。
「絵里、まだ仕事を終えていないのか?」
相変わらず尊は毎日私を迎えに営業課へとやって来る。
尊はあまりにも仕事より私を優先しているのが目立ち過ぎている。
「私よりあなたの方の商談はいいの? 今日、打ち合わせが入っていなかった?」
「ありますよね? 専務、俺が取った契約がありますけどね」
一緒に暮らすようになって毎日時間になると迎えにやって来る。
私は嬉しいけど尊の為にはならない。
「私は先に帰って夕飯の仕度してるわ。だから、仕事をして」
「どうやって家まで帰るつもりだ?」
「最近、調子いいのよ。電車で帰るから大丈夫よ」
尊は私がまた倒れるのではないかと心配してくれていたようだ。
「私が送るわ」
仕事を終えた友美が私達のところへとやって来た。そして、尊を睨む様にして言う友美を見て暫く尊の無言が続いた。



