「大丈夫、その件は誰にも言うつもりはないよ」
「誰にも知られたくないの。黙ってくれると助かります」
「という事は、専務の元カノと言うのは正解だったわけだ」
正解? それどういう…………私、嵌められた?!
森田さんは私の顔を見てクスッと笑っていた。
ものの見事に森田さんを信用し尊との関係を知られてしまった。
何が目的なのか、私と尊の秘密を暴いて森田さんに得になることでもあると言うの?
「俺にね、専務と君の関係を知りたいから情報を提供しろって子が居るんだよ。でも、俺、その子嫌いでさ」
「まさか、尊の元カノの江島さん?」
「そう、その『たけるの元カノ』が俺に情報を求めてくるんだよ」
森田さんは私に何をしろと言うつもり?
私に取引でも持ちかけるつもりなの?
どうして、私の周りには尊といい森田さんといい取引をしたがる男ばかりなの?!
すると、森田さんはクスクスと笑うといつもの笑顔に戻った。
「江島には情報提供しないから安心しろよ。専務を裏切る気はないし、そもそも俺は笹岡さんを気に入っているから笹岡さんの味方なんだよね」
まるで私を脅すような態度を取る森田さんに、私はかなり緊張が走ったけれど森田さんの優しい笑顔にそれはないと分かった。
そして、森田さんの味方発言は信じられると。
会社で友美以外に味方が出来たことが嬉しかった。
「あ? おい、これくらいで泣くなよな?」
「泣いていません。ちょっと嬉しくて目が潤んだだけです」
「だから、泣いてるんだろ?! 俺が泣かした見たいじゃないか」
「そうですよ!」
だって、本当に森田さんが私を泣かせたんですからね。
でも、尊には内緒にしていてあげますから心配しないで。



