帰りの電車の中は空いていたけど、なんとなく外の景色を眺めたかった私は、座らずにドアの前に立っていた。


帰り際、優菜ちゃんが言ってた。


『中矢さんてなんていうか、中学生がそのまま大人になったみたいな感じですよね。そういう中矢さんと喋ってるときの岩崎さん、すごく楽しそうでしたよ』


ほんと、私にちょっかい出すときの中矢君は子供みたいで、私には遊び人みたいな台詞を言ったり、からかいたいがために弱味を握ってるような素振り見せたり、急に冷たくなったり……。


変わってしまった中矢君が嫌だったはずなのに……。


ムカつくって言いながら、本当は楽しかったこと。

時々見せる優しさに、本当はすごくドキドキしていたこと。


この思いが昔と同じものなのかは分からないけど、冷たくされても嫌われてるとしても、このまままた時だけが過ぎてしまうのは嫌だから……。

もっと中矢君を、知りたい……。