窓の外の空は快晴。


学校を彩る生い茂った緑の木々に留まっている、チュンチュンと可愛い声で鳴く対の鳥。


そんな素敵な風景を目にする事もなく、私は教室の自分の席で、携帯の画面に映し出されている写真を見つめながら、思わず頬を緩めた。



はぁ……、格好いい。



 写真に映っているのは、2年生の朽木仁(クチキ ジン)先輩だ。さらさらの黒髪に黒縁メガネが掛けられているスッと通った鼻筋。首元に控え目に輝くネックレス。それに長い睫毛が印象的な仁先輩。


そんな格好いい先輩が私の好きな人だったりする。


 それにしても、見た目だけじゃなくて名前も格好いいなんて、ほんと私の心臓をどうするきだと言ってやりたい位。


まあ、言えるわけないんだけど。


せめて私も工藤麻希(クドウ マキ)っていう普通な感じの名前じゃなくて、もっと可愛い感じの名前だったら。


そう思って自分のボブの毛先を指先でつまむが、そこでどうしようもない現実に大きなため息が漏れた。



…………それでも名前負けになるだけか。