彼女ができたのだろうか。 "成海"とは、彼女なのだろうか。 もやもやもやもやする。 胸の中に一本の糸がぐちゃぐちゃに 絡まっているような。 はるかはふと手を止めて、 さっきまで練が座っていた場所を見る。 ため息をついて、水を止めた。 他の女性の名前を呼ぶのが許せなかった。 わたしのことは名字にさん付けで、 なのに下の名前の呼び捨てで。 彼女なら当たり前のことが、 いまのわたしにはとても苦しい。