「大丈夫ですか?」

転がっているボックスティッシュを

横目に捉えつつ、はるかを見る。


「わたしが悪いんです、口を挟んだから」

「いえ、こちらこそごめんなさい。見苦しいものを…」



痛いとこない?大丈夫?

ともう一度聞いて、こたつに促した。



「虚言癖っていうか…嘘をよく、つかれていて…。すぐ、別れようとか言ってきたり、わざと嫉妬させるようなことをしたり…あ、すみません、忘れてください」


はっとして愚痴を飲み込む。

はるかは、首を横に振って、

練の方に湯のみをゆっくりと滑らした。


「菊原さんは、そういう人いましたか?」


成美が手をつけなかったお茶に口をつける


「いました。でも、遊ばれてました」


はるかの喉がコクっと動く。

口の中にお茶の苦味が広がった。


「大福たべよ、ね」




わざと明るい声だした理由を

気づかないでください。

聞かなかったことにしてください。


特に嫌な思い出ではないけれど、

成美を本気で好きだった練の前で

どうしてかとても恥ずかしかった。


これは、

好意によるものかはわからないけれど

なんとなく、意識をしてしまっていた。