未熟女でも恋していいですか?

「だから塗料の金は俺が出す。元からそのつもりだったし」


「えっ!?でも、これから部屋借りるのにお金必要でしょ!?」


「そんなの要らねー所に越すからいいよ」


「それって、うちのことじゃないよね?」


焦って聞き直す私に目を向けて笑った。

意味深な態度にイラッとさせられる。



「高島さん!」


声を張り上げた。


「望。そう言ったろ」


朝はスルーしていたのに、何故ここでしない!?


「呼び方なんてどうでもいいから、とにかく仕事して!」


調子が狂う。

一々張り合うからいけないんだ。


「はいはい。じゃあカツラは早く飯作れよ。旨いもん期待してる!」


あんたは何様!?

客人は味まで期待しなくてよろしい!!



ムッとしたまま家の中に入った。

部屋で着替えてキッチンへ行くと、お昼を食べた後の食器がきちんと洗われ伏せられている。


綺麗好きなところは好感が持てる。

律儀な性格も悪くない。

細々とした所にもよく気がつくし、私の顔色を確認しながら話しているのは認めよう。



(だからって……絆されちゃ駄目!)


冷蔵庫から取り出した木綿豆腐をレンジにかけた。

水切りをしてボウルに移した後、グチャッと手で握り潰す。

鳥ひき肉では味が出ないから、合挽きミンチを用意した。

塩やお酒、醤油を加えて下味を付けて成形する。


(タレはピリ辛味にしてやろう。辛くて食べれないって言わせてやるんだ!)