未熟女でも恋していいですか?

「な、何ですか?」


次第に手の震えが戻り始める。

それを握りしめることでごまかしながら、精一杯の虚勢を張った。



「風呂。……入るなら湯を足せよ。もう温いかもしれねぇから」


「私……そんなに長いこと気を失ってた…の?」


1時間?2時間?

その間、この男はずっと側に……?



「気ぃ失ってたのは小一時間もないくらいだ。ただ、お前が凄く震えているから言うだけで…」


目線に合わせて、自分のことを振り返る。

確かに指先は冷たく、身体中の至る箇所が小刻みに震えている。



「いいか?分かったな」


言うだけ言うと立ち上がる。

ちらっとこっちの様子に視線を移し、素早く部屋から出ようとした。



「た……高島さんっ……!」


ついに名前を呼んでしまった。

なるべく呼ばずにいようと思っていたのに……。



「何だ」


体を捻るようにして振り向く人が聞き返す。


何を言おうとしていたんだろう。



「あ…あの……」


ぐるぐる…と思いが巡って言葉にならない。


お礼やお詫びだけじゃない。

何処か、寂しさが募っていく。



「カツラ?」


慣れたように名前を呼び捨てる人の顔を見た。



「な、何でもありません。……ごめんなさい…呼び止めて……」



目線を下に向けて謝る。

謝るようなことでもないのに。



「変なやつ」


変な人から変呼ばわりされた。

でも、確かに今の自分は平常ではない。