未熟女でも恋していいですか?

「いきなり卒倒するから驚いたぞ」


声をかけながらペットボトルの水を注ぎ、グラスを差し出す。



「飲めよ。落ち着く」


目の前に見えるグラスを受け取ろうと手を伸ばす。

カタカタ…と震える指先を見つめ、男が心配そうな声を出した。



「持てるか?零すなよ」



「……ん」


まともな返事も返せないくらいに喉が渇ききっている。


細かく振動する指先で掴んだグラスに慌てて唇を吸い寄せた。



ゴク…ゴク…ゴク……ゴク……ゴク……。


喉の鳴る音が聞こえる。




(大丈夫………ここは教室じゃない…………)



「はぁーーー……」


思う以上に大きな息を吐き出した。

発汗した後の背中に、ブルッと寒気を感じて震える。



「風邪引くなよ」


肩にカーディガンを引っ掛けられた。

その相手に目を向け、無言で見つめてしまった。



「…どうした?」


何も聞かない。

多分、大声で叫んでしまった筈なのに。



「いえ…何も……すみませんでした……」



ぼんやりとした頭でお礼を言う。

どうやらここは、自分の部屋みたいだ。

キッチンで倒れ込んだ私を高島がここに運んできたらしい。



(服は………ちゃんと着てる………)



ぎゅっと胸元を握りしめる。



夢で良かった。

現実でなくて良かった…。




「カツラ?」


男の顔が近づいてくる。

ブラウスを握る手に力を込め、全身を緊張させながら声を出した。