未熟女でも恋していいですか?

そりゃそうだろう。

いろいろと物入りにもなるからね。



「だったら決まりでいいですね!わぁ、嬉しいっ!」


写真を返してもらおうと端を摘んだ。


「待て!この写真は預かる!」


高島の手が引っ張り返す。


「これがねぇと塗料が買えない」


「あ……そうか」


パッ!と手離した。

1人のものにした高島は、改めて写真を見つめる。



「そんな真剣に見なくてもいいのに」


幼い頃の自分が写っているだけに、やはり何処か気恥ずかしい。


「いいじゃねぇか。可愛く撮れてるんだし」


写真と今とを見比べる。


「やめて!見るなら写真だけにして!」


そっぽを向けて逃げようとした。


「待てって!」


ぎゅっと右手首を掴まれた。

跳ね上がる心臓の響きに驚いて、同時に恐怖心が駆け上った。



「は、離してっ!」


ドクドク…と血流が騒ぎ始める。

唾液が一気に乾き始めて、息が苦しくなってくる……。



(どうしよう……まずい…!)


胸の音が異様なまでに耳に響いている。

その音を聞きながら、あの日のことを思い出した。


……………………



(怖い…!……お母さん、助けて……!)



ガタガタ…と震えだす私に気づいて、高島の手が離れた。

その顔を見つめ続けて、震える指先で口元を隠した。




「お……お風呂に入ってきます……」


向きを変えて歩き始めた途端だったと思う。