未熟女でも恋していいですか?

考えを巡らせながら食器を洗った。

風呂から上がった高島は、髪の毛をゴシゴシとタオルで乾かしながらキッチンへ来た。



「話って何?」


決戦に臨むような気持ちで聞いてみた。


「そんな怖い顔するなよ。話しにくいだろ?」



今更怖気づいて何になる。

怖い顔なんて誰もしてなどいないし、元からそんなふうにしか見えない顔なだけだ。



「失礼ね!私は元々こんな顔なのよ!」


居候のくせに不用意なことばかりを言う。

やはり指導が必要と見た。



「あのさ、外壁の色の件なんだけど…」


「外壁?」


「今かなり小汚ねー色だろう?元はライトベージュっぽい色みたいだけど、その色に塗り直すか別の色にするかの希望を聞きたいんだけど」


ははーん。

その辺はやはり職人なのね。


「そうね……前と同じ色というのも面白味がないから……」



思わず迷ってしまった。

あの藤棚に似合う様な色がいいなぁ…と思っていたところで閃いた。



「ちょっと待っててくれる!?」


部屋に向かって一目散に走り出した。

確かアルバムの中に何枚かあった筈のものを見せようと思い立った。




「え…と、確かこのアルバムに……」


昔風の重い分厚いアルバムを押入れの棚から引き抜く。

自分が幼い頃の写真があれこれと貼ってあるうちの一枚を剥がして持って行った。