未熟女でも恋していいですか?

(まぁ、別に知ったことじゃないけど……)


知らん顔してればいい。

出て行った後は自分でなんとかするだろう。



髪を乾かして脱衣所に付いている鍵を開けた。

ガタガタ…と滑りの悪い戸を開けると、目の前に熊のような体が立っている。


「ひぃ…!」


声にならない叫びを上げると、目の前にいた熊は呆れるような声を出した。


「なんだ、一体…」


「は……」


よく見ると熊ではなかった。

アオムシか狼か分からない左官工だ。


「何でそんなとこに立っているの!」


驚かさないで…と息を吐く。


「トイレに行こうと歩いてたら、ガタガタ言わせながら扉が開くから見てたんだ。…滑りの悪い戸だな。明日見といてやるよ」


足元のレールを見つめながら話す。


それなら良かった。

私がお風呂に入っている音をずっと聞いていたのかと思った。



(……でも、待って。この男言うことが、全て口から出まかせじゃないと何故言える?)


訝りながら高島の顔を拝む。

伸びっ放しの髪をした高島がそれに気づき、「何だよ」と言い返した。


「別に何も。メンテンスよろしくお願いします」


「あんたのか?」


「違う!扉のですっ!」


アホか!

すぐに調子に乗る。



「分かってるよ。わざと言ってみただけ」


から笑いをしながら通り過ぎ、トイレへと入る。


「ふぅ…」


やっぱり調子が狂う。

なるべく会話しないでおこう。