未熟女でも恋していいですか?

「なぁーんて、ウソウソ!ちっともそそられねぇっ!」


空笑いをしながら数珠を置く。


立ち上がる男にビクつく。

凝視している私の視線に気づき、唇の端を持ち上げた。



「なんて顔してしてんだよ。お子様だな、カツラは」



35の女をつかまえてお子様と言うあんたは何者だ。


ただの左官工か?

それとも飢えた狼か?


それとも………



「あーやれやれ、なんか疲れたなぁ。俺、もう寝るわ」



「あっ…じゃあ布団を……」



襖に駆け出そうとして歩みを止める。

自分から布団を出そうとするなんて、誘っているとしか思えない。



「…布団はそこの中にあるから……自分で適当に出して使って」


指を差して部屋を出た。

いつまでもこの男のそばに居れば調子が狂う。



(私は1人で生きれる。誰も一緒に居なくても、立派に生活していける……)



廊下を歩きながら自分に言い聞かせる。



1人で生きる。


1人がいい。…………と。