肉じゃがを頬張りながら高島は自分のことを話した。


「住んでた部屋が火事に遭って住めなくなったんだ。新しい場所を見つけるにも金が要るし、保証人も要るから厄介で…」


昨夜と同じように速いスピードで箸を進める。

次から次へと口に入れるのを見ていると、喉に詰まらせるんじゃないかと気が気でない。



「もう少し落ち着いて食べなさいよ。食べ物は逃げたりしないから」



母親のようなことを言ってしまった。

私の方に目を向けた高島は、「そうだな…」と箸を持つ手を遅めた。



「お前をも食えよ」


「お前じゃありません。仙道……」


「カツラ」


「さん!」


「さん」


真似っこもいいとこ。

まるで、子供みたい。



「ぷっ……!」



可笑しくて堪らない。

この人の言うこと為すこと、全てがツボにハマってしまう。



「……ったく、どんだけ笑えば気が済むんだ」


呆れながらも食べるのは止めない。

腹ペコアオムシだと自分のことを言うだけはある。



「…なぁ」


「何よ」


笑いながら震える手で握った箸の先でじゃがいもを摘む。

落っことさないように気をつけながら急いで口に運んだ。


「俺をここに住まわしてくれないか?見た所かなり年季入った家みたいだし、外壁だけでなく家の中も修理してやるよ」


「何で?」


「カツラの飯が旨いから。…お礼」


「お礼……?」