未熟女でも恋していいですか?

気持ちを頑なにしながら二合分のお米をストッカーから取り出した。

ジャキジャキ…と音を立てつつ、白いとぎ汁を捨てていく。



(おかずは何にしよう。昨日はすき焼きにしたから……)



チルドルームに入った牛肉が頭に浮かぶ。

量は多くないけれど、使ってしまわないと腐るし……。



(肉じゃが?…カレー?…それとも野菜炒めとか…?)


野菜室を開けて悩んだ結果、「肉じゃが」にしようと決めた。



「かきたま汁と白菜のサラダも作ろう」


我ながらいい献立だと思いながら作り出す。

食材を切り、牛肉を炒めだしたところで玄関のチャイムが鳴った。



(誰だろ……)



表で作業をしている男が思い浮かんだ。

もしも本人だとして、一体どんな対応をしてやればいいか…。




「はい……」


警戒するように扉を開けずに声を出した。


「仙道さん、自治会長の羽佐間(はざま)ですが……」


「自治会長さん?あっ…はい、直ぐに開けます」


カチャ…と鍵を開けた。



「こ、こんばんは…」


扉を開けて頭を下げる。

自治会長の羽佐間さんには、母の葬儀の時に随分とお世話になっていた。


「昨日、忌明けの法要があったと聞いてね。何か困っている事はないかと、聞きにきたんだが……」


「困っている事?」


ちらっと背後を気にする。

ん?と振り返った羽佐間さんの陰に、防腐剤を塗り続ける男の背中が見えた。