未熟女でも恋していいですか?

「頼んでもないことやらないで出てって下さい!」


むっとしながら言った。


「出てくよ。色を塗ったらね」


男はこっちの顔も見ずに答える。

相手をする自分の方がバカだと言われている様な気がして、大股で庭をすり抜けた。


「あ…そうだ。カツラ…」


「さんを付けてっ!!」


振り向きざまに怒鳴った。

相手の男は驚くような素振りもなく、平然と言い返す。


「…さん、あのさ…悪ぃんだけど、何か食わせて」


「はっ?」


「今日も金入ってなかったんだ。だから、何も食ってなくて」


「はぁぁぁ?」


何この男。

呆れる。…って言うか、アホなの!?本当に…。


「振り込まれないんなら取りに行けばいいじゃない!その依頼先って何処なのよ!」


「何処って、それは教えられねーよ。俺の顧客情報だし、プライバシーの侵害って言うんだろう?そういうの」


妙なことに詳しい。


「確かにそうだけど、だったらあなたが催促しに行けばいいことじゃない!」


「そんなに焦らせられねぇよ。相手は一人暮らしの年寄りだから」



「…あっ、これもプライバシーの一つだったか…」と、思いついた様に呟く。


そんなのどうだっていい。

いつまでもこの家の敷地に居て欲しくない。



「ちょっと待ってて!」


鍵を開けて中に入り戸締りをする。

素早く服を着替えてからキッチンに赴き、残りご飯を冷凍室から取り出した。



本当は今夜、このご飯で雑炊を作り食べてしまおうと決めていた。

けれど、今は別目的に使おうとしている。