未熟女でも恋していいですか?

「待たんか」


立ち去ろうとする俺の顔を見定めて、おっさんがゴホン…と咳払いをする。


「分かっとると思うが、相手は大事な寺の檀家だからな」


(泣かすな…という意味か?そんなの当たり前だろ)


「知ってるよ。だから大事にしてる」


大事にし過ぎて向こうから頼まれたくらいだ。

今朝の言葉を思い出して、ニヤつきそうになるのを必死で堪えた。


「ならば良い。今のお前を見たら、両親も姉さんも少しは安心するだろう」


藤さんのお陰だ…と呟いた。

幼い頃から母親に付いて寺通いをしていたカツラは、おっさんからの信頼も厚いらしい。



「いずれ家にも行くよ。電話があったら言っといて」


「自分からはせんのか?」


「プライドなくなったらする」


「どうしようもない奴だの」


「いいんだよ。どうせガキなんだから俺は」


またな…と言って門を出た。

目の前に流れている川を見ながら生まれ育った町のことを思い出した。



(あの頃と俺、あんま変わってねーのかも…)


自分のことを『熟れていない果実』だと言ったカツラの気持ちも分かる。

何処か不完全なまま大人になった俺達は、やはりお似合いなのかもしれない。



「あーあ、何贈ろっかなぁ〜〜」


誕生日に何もナシという訳にもいかねぇよな。カツラには、いつも旨いもん食わせてもらってるから。


せめて誕生日祝いくらい用意しよう。

ガキだとしても、大人だから。