未熟女でも恋していいですか?

「カツラのお母さんは、日傘を閉じて俺の近くに寄ってきた」




『貴方、左官さん?お若いのに壁塗りが上手ね』


誉められたからと言う訳ではないが、少しばかり気を許した。



『どうも』


愛想なく返事をしたと思う。

そしたら、急に話し始めたんだ。


『うちにも嫁に行かない娘が1人いるんだけど貴方は独身?」


面倒くせー見合いでも勧める気か?と思ったけど、逆に渡りに船かも…と考えた。


『そうです』


思っていることが顔に出ないよう心がけた。

おばさんはパチン!と手を叩いて、嬉しそうな顔をして笑った。


『ねぇ、良かったら、うちの娘と一緒になってくれない?』



正面に座っている女の顔が赤い。

生前、母親の言った言葉がどうにも恥ずかしいみたいだ。



『貴方なかなかのイケメンだし、うちの娘と並んだらきっとお似合いよ!』


爛々と目を輝かして言うから参った。


『すみません、俺、彼女いるんで』


居もしないけど、そう言って笑い飛ばした。

それから先、そのおばさんに会うことはなかった。



「……なのに、ここの襖を開けたら居るだろ。さすがに驚いた」


「本当にどうもすみません。無遠慮な母で……」


赤い顔をした女が謝る。


「いいって。お陰で俺は助かったから」


「へっ!?」


きょとんとした顔で見つめる。

いつもの取っつきにくい表情より余程可愛い顔をしてる。