未熟女でも恋していいですか?

「お子様でいいよ。大人になっても良いことなんて一つも無かったし」


念願の高校教諭になった途端、あの未遂事件が起きた。

それからの毎日は、苦痛以外の何物でもなかった。


教壇に立ちながら足が震えた。

男子生徒の目が怖くて、ほぼ無表情に授業を進めた。


『教師ロボット』と称されることもあった。

笑いもしない私を男子生徒たちがそう呼んでいると聞かされた。


思い出すと気分が落ち込んでくる。

視線を彷徨わせている私に近づき、高島が川奥に向かって石を投げた。


投げられた石は水面を点々とかすめて跳ねていく。


「石切り。やったことあるか?」


頭の上から聞かれた。


「ない。どうやってやるの?教えて」


幅の狭い川では出来なかった遊び。

薄っぺらい小石を集め、中指と親指で石を上下に支え、人差し指を添えると教わった。


「こう?」


握った手つきを見せた。


「違う。もう少し人差し指を石の側面に沿わせて」


伸びてきた手に指を握り直された。

触れた途端ドキン!と大きな胸音が響き渡り、体全体が固くなる。


胸の中がザワザワとして落ち着かない。

呼吸がしづらくて息も苦しい。


でも。



「ほら、それで投げてみろ。横向きに石を滑らせる様な感じで」


手を離されて見守られた。

オドオドとしながら体を横に向け、小石を放り投げた。

手から離れていった小石は、水面を三度跳ねて沈んだ。