未熟女でも恋していいですか？

さほど驚いても無さそうな顔をされた。


「昨日おっさんからも聞いたんだけど、俺に声をかけて間もなくして倒れたんだってな。お堂によく参ってたのにパッタリと来なくなって心配してたら亡くなったと聞かされて驚いたらしい」


「脳梗塞だったの。人工呼吸を付けて点滴と注入食だけで半年間命を繋いだ…」


医師も看護師も、その生命力の強さに驚いていた。


『この世によほど心残りがあるんでしょうね…』といろんな方から言われた。



「母は…私を１人にするのが、気が気で仕様がなかったんだと思う…」


遺影の顔を思い出して言葉が詰まった。

泣かないように唇に力を入れ、ぎゅっと前歯で噛んだ。


「カツラが１人で生きれないと思ったんだな」


高島の声が優しく聞こえる。


「…うん…きっとそう…」


病院のベッドに付き添いながら、最初の１週間、毎日泣いてばかりいた。

母との思い出は溢れるほどあって、そのどれもが次から次へと思い出された。



母が逝くのなら自分も…と思った。

１人にしないで…と何度もすがって祈った。



「意識なんて無くてもいいからずっと生きてて欲しかった…。呼吸器で息をしてても、それを見ているだけで救われた…」



３５を過ぎても未熟な子供のままだった。

そんな私のことを、母は人一倍心配していたんだ……。



「母は偉大だな」


高島の声に頷く。