未熟女でも恋していいですか?

運転中の高島は普段の荒々しさとは違って紳士的だった。

乗り慣れている車内では気の利いたボサノバ音楽をかけ、明るい口調で話す。

指導の必要もない言葉遣いをして、住職に対する悪態も影を潜めていた。


「どうして私を誘って出かけなさいと言われたの?」


質問すると前を向いたまま返事があった。


「『ご縁だから大事にしろ』って」


「ご縁…ね」


壁の修理以前に、母がキッカケを作っている。


「うちに来たのは偶然だったの?」


「ん?…ああ、まぁな」


はっきりしない返事だこと。


「お母さんと会った時はどんな話をしたの?」


「『娘が嫁にも行かず1人でいるんだけど貴方は独身?』と聞かれたな」


「い、いきなり!?」


「ああ。変なおばさんだと思った」


ーーでしょうね。


「それで!?何て答えたの!?」


「単純に独身です…と。そしたら手を叩いて喜んじゃってさ!『是非、うちの娘と一緒になって!』と…」


「す…すみません……」


(お母さん…突拍子もないこと言わないで!)


「謝らなくてもいい。その場は笑い飛ばして済んだから」


「だけど……」


「…ん?」


振り向く顔に一々心音が変わる。


「き…気色悪かったでしょ?うちに来て母の写真を見た時」


偶然にしてはでき過ぎている。

本当に母が招いたとしか思えない。


「あーまあ驚いた」