未熟女でも恋していいですか?

菩提寺は川のすぐ側にある。

山から流れてくるせせらぎの音に耳を澄ませ、伸びたセリの長さに初夏を感じる。


陽の光に照らされた川面に列を成すメダカ。

子供の頃は、この川縁で母とよく掬って遊んだ。




「また来たのか」


川面を覗き込んでいると、頭の上から声がした。

ビクッと肩を揺らして振り返ると、作業着ではない高島が立っている。



「高島さんに用事があって来たんです」


口から心臓が飛び出しそう…というのはこういう状況だろうか。

喉の奥から響く動悸が、必要以上に大き過ぎる。


「俺に用事?何だ?」


冗談も言わずに聞き返された。

似合わないくらい真面目な顔つきに、返って恥ずかしさが増してくる。


「あの…私が貸した写真を返してもらいたいんだけど……」


「写真…?」


ぽかん…とした顔をしている。


「うん。ほら、子供の頃の…」


言われても直ぐには思い出せない様子で目が泳ぐ。

その仕草を黙ったまま見つめ、高島が思い出すのを待った。



「……ああっ!そうか、あの写真か。…そう言えば預かりっ放しだった!」


ようやく思い出したらしい。

真面目ぶっていた表情がコロリと変わる。

イケメンかもしれないと思っていた顔は、やっぱり間違いなくイケメン風だ。


「待ってろ、今取ってくる」


向きを変えて歩き出そうとする人が振り向く。

ドキッとする心臓に静まるように言い聞かせ、じっ…と顔を見つめた。