未熟女でも恋していいですか?

高島が塗った壁は、明るい雰囲気を庭にもたらした。

近所の人が塗られた壁を見に来て、「いい色だわぁ」と囁いていた。


「いつから左官をしているの?」


「20歳くらいから。専門学校中退して遊び半分で始めたらハマった」


「先生とかいるの?」


「うん、まあ師匠みたいな人はいる」


「此処を出たらそこへ行くの?」


バクバクと食べ続けている高島の顔を見た。


「……まだ決めてねぇ」


「呑気ね」


今夜までは泊めてもいいと思う。

明日の朝、出て行ってさえくれれば。



「俺のことなんて気にしなくていいから食おうぜ。メシが不味くなる」


こっちは心配してやってるのに変な人。


「言われなくても食べます!」


お金出したの私だから。



ジュージューと肉の焼ける音を聞きつつ、1人になったら焼肉もいいかも…と思った。

音も会話もない食卓が、少しは楽しく感じるかもしれない。



「俺が出て行ったら……」


高島が2本目の缶を開けながら話しだした。


「戸締りとか気をつけろよ」


意外に当たり前の言葉を言った。


「勿論。気をつけます」


「それから、下着は外に干すな」


「当たり前でしょ!」


今までだって干してないし。


「簡単に家の扉開けんなよ」


「それ、高島さんが訪ねてきた日のことを言ってるの?」


法事の翌日で近所の人が訪ねてきたのかと勘違いした。