未熟女でも恋していいですか?

「不味いものができそうだな」


休憩と称して入ってきた高島が呟いた。


「そうですか?じゃあ思いきり美味しくないもの作ります?」


この間は辛味で失敗した。

今日は甘い味で攻めようか。


「頼むから旨いものを頼む。入ってきた金で食費も出すから」


低姿勢なこと。

最初からそういう態度でいればいいのに。


「食費は要りません。今日の分もこれまでの分も」


元から節約メニューしか作ってない。

こんな早くにカタが着くと分かっていたら、もっとお金をかけた食材を使っていた。


「明日の夜は焼肉にしましょうか?高島さんとの最後の晩餐になるから」


その代わり、今夜はモヤシと豆苗を使おう。

質素な夕飯で我慢して、明晩豪勢な食事をする。


「焼肉か。任せる」


嬉しそうな顔が伺えた。

この人、やはりお肉が好きみたい。


「じゃあ後で買い出しに行ってきます。留守をお願いしますね」


1人ではできないことをまた知った。

留守を頼めるのも、相手がこの家にいるからだ。


「おう、高い肉買ってこいよ」


図々しい。

でも、これがアオムシである高島 望だ。





(望か……)


呼び捨てはやはりできそうにもない。

この男のことは呼べても、精々「腹ペコアオムシ」がいいところ。


「お肉の値段は程々にします。贅沢はできませんから」


「つまらねぇな」と唇を尖らせ、水を飲んで作業に戻る。


このやり取りも明日まで。

その先は、二度とないーーーー。