未熟女でも恋していいですか?

必死にごまかして離れた。

男の前で泣くのは良くない。

それはあの経験が教えてくれた。



「カツラ…」


高島が手を伸ばそうとしている。



「触らないでっ!」


大きな声で動きが止まった。

ハッとして顔を見上げ、直ぐに視線を逸らす。


「ごめんなさい……誰かに触られると…気分が悪くなるの……」


構えていると余計でもまずい。

しかも今のシチュエーションは、あの時と感じが似ている。


「私…お昼の準備を始めます。その後は買い物に出かけますから…」


前を向いたまま後ずさった。

高島は変な歩き方をする私のことを唖然として見送っている。


「ご飯できたら呼びますね。壁塗りお願いします」


2、3メートル離れてから玄関の中に走り込んだ。

後手に扉を閉め、カチャンと鍵を掛けてしまう。



「はぁーーー」


ヘナヘナ…と座り込んだ。


よく耐えた。

でも、これ以上はやはり無理だ。


高島の側にいる間、ずっと息が苦しかった。

あの目で見つめられると、余計に胸が締め付けられる。


呆れるほど苦手になっている……。

家族のように接せられても、やはり高島が男である限り難しい………。




キッチンの流しに立って、トントン…と包丁音を奏でながら料理を作る。


いつかのように楽しそうな音ではない。

どこか寂し気で、物悲しい響きに聞こえる。