私は……あの男に絆されかけている……。
認めたくないけれど、そうだと思う。
あれ程イライラさせられ通しだった高島に、心を揺さぶられそうになっている……。
(たった数日、一緒に暮らしていただけなのに……)
家族を亡くした私に、家族と同じ様に接してくれた。
名前を呼び捨てにして、ある程度の距離を置いてくれた。
性格の悪いところを指摘して服装に色気がない…とまで言ったのはあの男だけだ。
(だからと言って、これ以上一緒に住むのは………)
背中を見るのはやめて藤棚の方へ向きを変えた。
白い棚板に這わされている枝の根元に付いている花芽が房を垂らし、開花の準備を始めている。
花が満開に咲く頃には壁塗りも既に終わり、同じ色調で包まれた家と庭のある中で、私は36歳の誕生日を迎える。
華やかに彩られた庭先で、毎年母と見た花を、たった1人で見つめるのだ。
今年だけじゃない。
これから毎年…………。
(侘しい…)
思い出の中にいつも母が一緒にいたのに、これからはもう誰もいない。
父も母も、私の側から居なくなってしまった………。
「……っすん」
鼻先まできた涙を声で紛らす。
これが自分の決めた道だから仕方がないと自分に言い聞かせるより術がない。
お一人様の人生を歩んでいくんだ。
強くならなくては………。
認めたくないけれど、そうだと思う。
あれ程イライラさせられ通しだった高島に、心を揺さぶられそうになっている……。
(たった数日、一緒に暮らしていただけなのに……)
家族を亡くした私に、家族と同じ様に接してくれた。
名前を呼び捨てにして、ある程度の距離を置いてくれた。
性格の悪いところを指摘して服装に色気がない…とまで言ったのはあの男だけだ。
(だからと言って、これ以上一緒に住むのは………)
背中を見るのはやめて藤棚の方へ向きを変えた。
白い棚板に這わされている枝の根元に付いている花芽が房を垂らし、開花の準備を始めている。
花が満開に咲く頃には壁塗りも既に終わり、同じ色調で包まれた家と庭のある中で、私は36歳の誕生日を迎える。
華やかに彩られた庭先で、毎年母と見た花を、たった1人で見つめるのだ。
今年だけじゃない。
これから毎年…………。
(侘しい…)
思い出の中にいつも母が一緒にいたのに、これからはもう誰もいない。
父も母も、私の側から居なくなってしまった………。
「……っすん」
鼻先まできた涙を声で紛らす。
これが自分の決めた道だから仕方がないと自分に言い聞かせるより術がない。
お一人様の人生を歩んでいくんだ。
強くならなくては………。

