義理の兄弟が14人できました。





「優伊にぃさん、ここちょっと教えてほしいところあるんだけど…」




────ベチャ!




プリンが落ちたのは、ちょうどドアを開けた薫くんの持っている、ノートの上。




「………」




静かな沈黙の後。





「うあぁぁぁあ!!!僕の完璧なノートがぁぁぁぁあ!!!」





頭を抱えて叫びだした。



大事…だったのかな…?ノート…




────



泣いている昇くん。

遠くを見ている琢磨くん。

呻き声をあげる薫くん。

いつの間にかいない海里さんと大地さん。




それを見ながら


「はぁ…」


響也さんはため息をつき、




昴さんはマイペースにおばあちゃんの隣でお茶を飲む。




まるで慣れてますとでもいうように。





────私、大変な人たちと兄弟になるのかも……。

 



沈黙を破ったのは



「ふぁあ~、いい風呂だったぁ~」



と言って入ってきた、桜井くんの声だった。





「え、何?みんなどうしたん?」




相変わらずの明るい声に皆が顔をあげる。




「兄貴聞いてくれよ…」



「優伊にぃ!僕のプリンがね…」



「僕の完璧なノートが台無しなんだ!」




「お、おう?」




戸惑いながら頷く桜井くん。

畳の上にあぐらをかくと、一人一人話を聞き出した。





面倒見のいい、良いおにぃさんだなぁ…桜井くん。








「やれやれだわい」




ひとまず騒動がおさまったところで、おばあちゃんが話し出す。




「独り暮らしは、寂しい時もあるが今日みたいにずっとうるさいと気が滅入るわ

あんたたちみたいに大人しい子達だったら毎日、歓迎なんだけどね」




「…おばあちゃんのお茶は、美味しい…から

…だから、またすぐ来るよ…」





おばあちゃんっこの昴さんが頭を撫でられて嬉しそうに笑った。





「お前も、またおいで」





そう言われてコクンと頷く。

昴さんと同様に頭を撫でられて、心がホワッと温かくなったのを感じた。