「────返して!返して僕のプリンっ!!」
「もう、僕のだよん♪」
散歩から帰ってリビングに入ったら、昇くんと海里さんが、プリンを巡って喧嘩していた。
「こら、海里。昇をいじめるんじゃない
────昇も、もうひとつののプリンで我慢しなさい」
お母さんみたいに注意するのは響也さん。
「やぁだあ~!!どっちも僕のだもん!!」
相変わらず賑やかな家族だ…。
「───困ったもんだろ?」
突然後ろから声をかけられ振り替える。
「……っ」
そこには程よく日焼けした上半身、裸の大地さんがいた。
凄く…ムッキムキだぁ…
よく見れば無造作にセットされていた髪はぺちゃんと垂れていて、
どうやらシャワーを浴びてきたみたい。
目の行き場に困っていたら、隣の昴さんが話し出す。
「…止めないの…?大地兄さんの必殺技で…」
昴さん…、大地さんにあれをやらすんですか…
「めんどくせぇ~」
といいながらも『海里ぃぃー!!』といいながらズンズン向かっていく大地さん。
「げ!大地っ!!!」
逃げようとする海里さんの肩を掴むと、勢いよくテキサスクローバーホールドをお見舞いした。
───と、その表紙に床が揺れて、
ピー~ーーーー
という無機質な音がなる。
「ぁぁぁーーー!!」
喧嘩を気にもとめずにテレビゲームをしていた琢磨くんが、
声にならない叫びをあげた。
「…あと…少しで…クリアだったのに…」
◯リオブラザーズのラスボスステージで見事に電源が落ちたらしい。
……不憫(;´д`)
「海里にぃぃーー僕のプリン返してー!」
「渡すもんかぁーー!」
力を振り絞って大地さんから抜け出した海里さんが、ベリッとプリンの蓋をあける。
どや顔で
プリンを丸のみしようとしたその時、
「だめぇーー!!それはおねぇちゃんにあげるのー!!!」
海里さんに昇くんが渾身の頭突きを入れた。
────その反動で飛んでいくプリン。
昇くんが手でキャッチするべく走る。
────が。
「わっ!!」
またしても
ピー~ーーーーと響く機械音。
ゲームのコードに引っかかって転んだ昇くん。
二度も電源を落とされた方針状態の琢磨くん。
その二人を置き去りにプリンは飛ぶ。
