「平山!オレンジジュースとコーラとお茶、何がいい?」
「…お茶で」
桜井くんは私のグラスにお茶を入れる。
そして、自分のグラスを持ち上げると、私のグラスにカチンとあてた。
「乾杯!」
「…かんぱい」
わお。いい飲みっぷり。
桜井くんのグラスのオレンジジュースは息をはく間もなく口に流れていった。
「ぷはぁーー!やっぱ運動後のオレンジジュースはいいな!」
喉に染みないのかな…?
「さーゆりん」
振り替えると海里さんがいた。
「どう?エンジョイしてる?」
「はい…」
「あれ?顔赤くない?」
そう言ってまじまじと顔を覗き込んできた。
「大丈夫?」
「…全然平気ですよ…」
「ふーん」
海里さんは何を思ったのか私の頬に手を添えてきた。
え、何…?
頬を撫でて顎にもっていき、掴んでクイッと持ち上げる。
「もしかしてさゆりん、お兄さんに話しかけられて照れちゃった?」
「何ですか…これ…」
「ん、顎クイ」
なんじゃそれは。
「かーいーりー!!!」
大地さんがやってきて、海里さんに、プロレス技のテキサスクローバーホールドをしかける。
「ギブギブギブ!!!」
「チャラいんだよ!お前。妹に手をだすんじゃねぇ!この女たらし」
わー…大地さん強い…。
二人が面白くて、思わず頬が緩んだ。
「ふふ…っ」
二人がこっちを見る。
見開いた瞳を見合わせて、もう一度こっちを向いて、微笑んだ。