ーーー…まずい…目眩がする…。
「んじゃあ、ケーキ食べましょー!!」
服は着替えて、暖かくなるはずなのに…。
どんどん寒くなってきた。
「13当分って難しいわね」
「ああ!母さん下手くそっ!貸して!俺がやる」
「お前も下手くそだ。俺がやる」
「すいやせん…大地にぃ」
大地さんと桜井くん…仲良しなんだな…。
ソファーに座り、服の袖を伸ばしながらぼっーと眺めていると。
「……さゆりちゃん……寒いの?」
タオルをくれた美男子が隣に座った。
「あ、いえ……」
「…そう…なら…いいけど…」
そういって、視線を前に戻す。
その横顔はとても綺麗で。
睫毛ながーくて、鼻がたかーくて。
とりあえずみとれてしまった。
「……何…?僕の顔、何かついてる…?」
振り返った彼と視線が絡まる。
色素の薄いグレーの瞳が私をうつした。
「…キレー…」
「綺麗…?何が…?」
「…瞳の色…とても綺麗だと…思って…」
目を見開く美男子。
「僕は…君の瞳の色…綺麗だと思ったけど…」
「え…私ですか…?」
「…琥珀色…」
…琥珀色?
「…光に反射すると…より一層綺麗…。鏡みたいに今も…その瞳に僕が映ってる…」
これは…誉め言葉として受け取っていいの…?
「ありがとう…ございます…あの、そちらも…お綺麗で…」
「……クスリ」
あ、笑った…、
「そちら?…それにお綺麗はない…男に」
「…すみません…名前分からなかったので…」
「ーー…僕は昴」
ーー昴さん。名前までもが綺麗…。
昴さんは立ち上がるとこちらに手をさしのべた。
「君の歓迎会なんだから…さゆりちゃんが主役…。ーーーおもいっきり楽しんで」
出された手を、おずおずと受け取って、立ち上がった。
「はい、さゆねぇ」
「あ…ありがとう…薫くん…」
グラスをくれた薫くんに首をかしげる。
さゆねぇって…私のこと…?